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広島で、ロ短調で、平和への祈りを。

先週だったか、とあるきっかけでその存在を知り、とっさに
「この本は絶対に買って家に置いておくべきだ」
と、ほとんど反射的にAmazonで注文した本がある。
「保存版 戦争中の暮らしの記録」

美化しようもない、戦地ではない、それぞれの生活の地であの日々を生きた方々の、等身大の言葉。
届いた本をぱらぱらとめくって、最初に目に付いたのは「おてがみ」という頁。
学童疎開した女の子と、送り出したお父さんお母さんとの葉書のやりとり。
どんなにかわびしくやるせない思いで娘を心配したろう。
どんなにかお父さんお母さんに会いたい気持ちを我慢したろう。
飾らない言葉に涙が出た。

この本には1945年8月6日の広島にいた方々の証言も載っている。
私は今月、初めて広島を訪れる。
バッハ・コレギウム・ジャパンのメンバーとして
「ロ短調ミサ曲」を歌うために。

7月27日、BCJ初の広島公演が「ロ短調ミサ曲」で実現します。
公演に先立ち、指揮者の鈴木雅明先生が広島を訪れ、「ロ短調」を演奏することへの思いを語られました。
平和への祈りを、広島で 〜BCJ広島公演に向けて


ご縁があって、今週も別口でロ短調ウィークなわけですが
Et incarnatus estでの、Deepest Loveに包まれた生命誕生の神秘、
そのすぐあとに語られるCrucifixusがあらわす、言うべき言葉も見つからぬほどの哀しみ、
そこからの、復活。
このくだりで心が揺さぶられることと、「おてがみ」のやりとりに胸が苦しくなったことと、
そして、戦後70年を迎える今年の今月、4回も「ロ短調」を歌うこと、
これらはすべてリンクしているんじゃないか、って

雅明先生のお話される映像を拝見して、はっとしたわけです。

このタイミングでこの映像を拝見できて、よかった。
「ロ短調」の終曲、「Dona nobis pacem」で何を思うのか。

平和への祈りを忘れずに、4回の演奏の機会を大切に歌いたいと思います。
なかでも、広島での公演は特別なものになると思います。
多くの方と、バッハの音楽を糧に、平和への思いを分かち合えたらと思います。
広島で、ロ短調で、平和への祈りを。_f0232910_08472935.jpg

バッハ・コレギウム・ジャパン 「ロ短調ミサ曲」広島公演の詳細はこちらから。

by takahashi_chiharu | 2015-07-10 08:40 | お知らせ | Comments(0)