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温故知新

NHKで、「十八世中村勘三郎の至芸」と題して
「髪結新三」と「鏡獅子」を放送していました。

勘九郎さんの涙の口上、
お父様とお声がそっくりで、何度見ても泣いてしまった。
そちらの世界をまったく覗いたことのない私でも
こんなに悲しく思う
それほど大きな方だったのだと思いますが。

不謹慎なようですが
こういうことでもないと歌舞伎がゴールデンタイムに放送されないのも
さみしいことだと思いつつ、
不勉強な私は、ひとつの演目をちゃんと全部見たのも初めてで。

昔はテレビで見かけても「聞き取れない、話がわからない」と思うばかりだったけど
音声がすばらしく映像もとてもきれいで
あらすじを知りたいと思えばすぐネットで調べられます。
いい時代になったものです。

それと、少しは私も大人になったのかしら。
台詞が入ってきたり、表情に目がとまるようになるのって。

長台詞は調子よく、見栄も決まって、新三さんのちょい悪ぶりがなんと粋なこと。
仁左衛門さんの源七さんも渋くてかっこよかった!


それでふと思ったのだけど、
「パルテノペ」をやっているとき、
長いレチの中に「決めどころ」があるんだよ、と教えていただいたのだけど
抑揚のつけ方、決めどころをつくるということ、通じるものがある気がする。
同様に、バロック・オペラでも
レチの最後のカデンツの部分やアリアの中でポーズを決めるのって
歌舞伎の見栄を切るのに通じるものがあると思う。

「鏡獅子」もかっこよかったー!
前半の、娘としての可憐な踊りと、
クライマックスの、ぐわーっと迫られるあの感じ。
派手だからということではなく
目が離せない、ひきつけられるあの感じ
歌でも目指したいものです。


歌舞伎に限らず、古典芸能というのは
取り上げる作品は昔から変わらないのに
その時々で、新しい発見がある、いろんなことを感じられる。
演ずる人、演奏する人によって違う色、それぞれの光が出る。
その「温故知新」の愉しさ、道の深さは
クラシック音楽も全く同じ。


台詞の掛け合い、間、表情、所作・・・
いろんなジャンルの表現を、なんでも見てみたくなる。


どんな世界でも、いいものはいい、ということなんでしょうね。

・・・テレビもいいけど
うーん、やっぱり、ライブで見たい!!
来年の目標、だなー。

by takahashi_chiharu | 2012-12-09 23:52 | 行った聴いた見た読んだ | Comments(0)