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小川明子アルトリサイタル@ハクジュホール

小川明子先生。
私がはじめて、本格的に「声楽」というものを習った先生。
高校の大先輩でもあり、
私が在学中には音楽の先生として授業も受けた。

小川先生との出会いがなかったら、
私は藝大には進んでいなかったと思う。
初めての海外旅行も
ウィーンに留学された先生を訪ねて行ったとき。
ウィーンとの出会いを与えてくれた先生。

高校生のころから、小川先生のお歌を聴かせていただくと、いつもいつも
「いいなぁ~、私もあんなふうに歌いたい!!!」
と、とっても羨ましくなったものだった。

先生、というよりも「あこがれの先輩」に近いのかもしれない。
でも、追いかける背中は、いつもすごくすごく遠い・・・
素敵な先生。


先生のお歌をここまでまとまった形で聴かせていただくのは
とても久しぶりだった、と思う。
プログラムは
シューマンの「詩人の恋」、
シューマンの奥さんであるクララ・シューマンの歌曲、
そして中田喜直の歌曲を、アルトのための歌曲集「愛を告げる雅歌」を中心に。

「詩人の恋」は、タイトルのとおり
ひとりの詩人が、過ぎ去ってしまった恋の
痛々しくも美しい思い出と、そこからの卒業(を懸命に試みている)を
語り続ける歌曲の連なり。全16曲。
男性が歌うことが圧倒的に多いです。
しかし最近は
メゾソプラノ、アルトの歌い手によって歌われることも多くなってきています。

最初は、静かな気持ちで聴いていたのだけど・・・
途中から、ぼろぼろ泣けてきてしまった。
声がきれいとか発音がクリアとか、そういう表面的なことではなく
なんだかわからないけれど、心ごとさらわれてしまった。
とても切なく、そしてあたたかい思い。
すばらしいなぁ。と感動すると共に
自分の心も、こんな風に激しく揺さぶれて反応できる、ってことがうれしいような
そんな気持ちだった。

クララ・シューマンの歌曲は、激しい感情も「さわやか」なトーンだった。
才色兼備な良妻賢母な人。

そして中田喜直作品。
私は、小川先生の歌われる日本歌曲が大好き。
歌詞カードなんかなくたって、
一言一句、すべてクリアに聞こえる。

アルトのために書き下ろされたという「愛を告げる雅歌」
初めて聴いた。
「詩人の恋」が「男の恋」を歌っていたのに対し
こちらは、「女の愛」。真正面、どストレートに。
ひたむきさ、けなげさ、包容力、嫉妬、あこがれ・・・
からだのなかにちいさなものを宿す存在。
成熟した女の歌。

ものすっごくかっこよかった。
例のごとく、「うわー歌ってみたーい!!!」と思ったけど・・・
楽譜見てみようっと。

アンコールの2曲目では
会場の皆様で「夏の思い出」を。
先生は、もう「先生」でした(笑)
私の「先生」としての姿勢は、小川先生のリスペクト率がめっちゃ高いです。はい。


小川先生の日本歌曲。
やっぱりすごい。素晴らしい。
9月には熊谷で、なんとオール中田喜直の歌曲という贅沢なプログラムで
先生がお歌いになります。
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☆☆小川明子アルトリサイタル ~中田喜直に寄す~☆☆

9月18日(土) 熊谷文化創造館さくらめいと 太陽のホールにて
13:30開場/14:00開演

♪プログラム♪
すべて中田喜直による歌曲です。

・「たーんきぽーんき」「風の子供」「おやすみ」などを含む
「六つの子供の歌」

・「さくら横ちょう」以外の曲も素敵な
「マチネ・ポエティクによる四つの歌曲」

・海にまつわる渋い4曲。男性もよく歌う
「海四章」

・そして今日感動した
「愛を告げる雅歌」

あ、ピアノは今日のリサイタルも、9月のリサイタルも山田啓明さんです。
小川先生のご主人様です。
お二人のデュオっぷりも板についていて、すばらしい。

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ぜひぜひ、皆様にも小川先生の日本歌曲をご堪能いただきたいです。
熊谷までお出かけして聴く価値、十二分にありますよ。
チケットのお求めは、会場となるさくらめいとのチケットセンター(048-532-9090)等で
取り扱っていますが、
私にご連絡いただければ、お取次ぎいたします!!!

by takahashi_chiharu | 2010-07-24 22:24 | 行った聴いた見た読んだ | Comments(0)