香港から帰ってきてからもあれやこれやとドタバタ・・・
やっと一息ついたので、香港行きのあれこれを、まず演奏会編から。
まず
「香港」というところは、大きく分けて「香港島」と「九龍(クーロン)島」に分かれていて
その間はフェリーや地下鉄で行き来することができます。
今回、香港ではCity Hallというすこし年代物な感じのホールで演奏しました。
香港芸術祭ではいくつもの会場でさまざまなイベントや演奏会を行っているらしく、
City Hallのある香港島から見ると対岸に位置する九龍島の海側には
とても立派で新しそうな文化施設(もちろん大きなホールもある)があったのですが・・・
内部はこんな感じ。
これはリハ中のひとコマ。
舞台上には「香港藝術節」の看板?が掲げられ。
天井が高くて、舞台上の音を前へと押し出しづらい感じの造りで
リハーサルでは、ソリストの立ち位置や
歌と楽器、また楽器同士の音量のバランスを測りあいながら進めていきました。
リハの合間に、2階席に上って音を聞いてみましたら
1階席よりもとてもとてもよく聞こえてきた、という印象だったので
きっと、お客様には楽しんでいただけたのでは、と思います!
また、今回はリハーサルの模様を現地の中高生たちに公開していて、
リハーサルの前に、指揮者の鈴木雅明先生が、
バッハの音楽について、また
バロック音楽を演奏する際に使用している楽器、
いわゆる「古楽器」についての短いレクチャーをしてくださいました。
香港では、実力あるオーケストラはあっても
古楽となると、まだまだ関心度は低いのだそうです。
これからの展開に期待、ということですかね。
今回は、2/20にはカンタータのプログラム、
2/21には「マタイ受難曲」の演奏を行いました。
これは、「マタイ」のときの舞台上での私の席からの景色。
「マタイ」では合唱、オーケストラともに二つのグループに分かれて演奏するのですが
私が属していたのは「2コア」。私のすぐ前にいらっしゃるオケの皆様は「2オケ」。
写真奥に椅子が並んでいるところは、
もうひとつのグループである「1コア」「1オケ」が陣取っています。
演奏会は、二日間とも大盛況!
カンタータのプログラムには出番のない、いわゆる「降り番」だった楽器奏者の方々が
演奏を客席で聴こうと思ったら、すでにお客様が隙間なく入ってしまって
結局、舞台袖からしか聴けなかったとか・・・。
香港の方に混じって、西洋人のお客様が多かったような気はしましたが
香港などアジア圏でも、バッハの音楽は求められているのだなぁと実感しました。
今回のカンタータ・プログラムでは、カンタータ72番で
BCJのコンサートマスター&コンサートミストレスである
寺神戸亮(てらかど・りょう)さんと若松夏美(わかまつ・なつみ)さんの
デュエットを聴くことができました☆
さらに、「マタイ」ではお二人がそれぞれソロをお弾きになり、
そして、もう一人のコンサートミストレスである高田あずみ(たかだ・あずみ)さんが
オケの要としていらっしゃり。
このお三方がそろい踏みすることは、めったにないのでは・・・
オーケストラのほかのセクションも、いつもの豪華メンバー、
さらに、ソリスト陣もおなじみのメンバーが勢ぞろいし
なんて豪華な演奏会だったのでしょう☆
合唱として参加しながら、本当に幸せだと思いました。
「マタイ」では、藤崎美苗(ふじさき・みなえ)さんの歌われたアリア
「Blute nur, du liebes Herz(血を流しなさい、愛する心よ)」に
いきなり涙腺を刺激され・・・
あなたが乳を与え、育んだ子が
育ての親を殺そうとする蛇となってしまったのですから。
それでも子供を愛する親心。
切ないなぁ・・・
昔は、このアリアには、あまり涙腺は反応しなかったけど。
心境の変化か、大人になったのか。
美苗さんの温かい歌いぶりがもたらしたものも、大きかったと思います。
後輩である私が言うのもなんですが、ますますステキになられてると思う♪♪
第1部の前半でいきなりウルウルはさすがに
「あの人どーしたのかしら」と思われるかも・・・と思い
一生懸命、目をパチパチしていたら、休憩時間に
私とは反対側にいた合唱メンバーちゃんに
「ちはるさん、さかんにパチパチしてましたよね??」と・・・
舞台上での生態、意外と見られてます。。。
・・・しかし、後半も
私は人知れず(いや隣近所にはもちろんバレているだろうけど)涙を流していたのでした。
ダメなんです。マタイだけは。
個人的に「泣きのツボポイント」が多々ありまして。。。
人には寿命があるんだけど。
どうして命を終えなくてはいけなかったのだろう。
生きている私たちは、終えた人たちの分まで
めいいっぱい、生きていかなくちゃいけない、と思う。
もう、そういう意味でも、「生きる」のは自分自身のためだけではなくなっているなぁ・・・
そういう風にしか、思いに答えてあげられない気がするし。
どうしても、そういうことを振り返らずにはいられないというか。
音楽の力、だと思います。
今年はオペラシティではなく香港で、
4月ではなく2月、ということにはなりましたが
やはり、参加させていただけて、本当に幸せでした。
演奏し終わったときのお客様の反応も、すごかったです。
特に、カウンターテノールのソリスト二人に対する拍手は、
一段とアツかったような気がします。
もちろん、素晴らしい歌だったことは間違いない!ですが
・・・もしかしたら、まだまだ「カウンターテノール」に対する認知度が低いのかな??
「男性なのに、女性みたいな高い声がでるなんて・・・!」って。
ちなみに、中国語?では
ソプラノのことは、
女高音
同様に、アルトは、
女低音
テノールは、
男高音
と書くようです。
それでは、カウンターテノールは???
答えは
高男高音
でしたー。
たかーい声が出るテノール、って感じかな?
今回のソリスト(ロビン・ブレイズと青木洋也くん)は二人とも背が高いので
「背も声も高いテノール」とも言えたかも(笑)
今回も、いい経験をさせていただきました☆