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「ある日の詩(うた)」コンサートを開催します!!

「ヘングレ」も終わって・・・

気付けば、
天高く、月美しく(素晴らしい十五夜でしたね!)、ちはる肥ゆる(!?)、

秋!です。

この秋、私的最大のイベントは、こちら!!

「Poème d'un jour ―ある日の詩(うた)―」
と題したコンサートをいたします。
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Poème d'un jour ―ある日の詩(うた)―

【足利公演 (久叡館サロンコンサートvol.21)】
10月27日(日) 13:30開場/14:00開演
久叡館(きゅうえいかん)
(東武伊勢崎線「足利市」駅徒歩5分、駐車場あり)
一般2000円/高校生以下1000円
全席自由(※要予約)

【横浜公演】
11月7日(木) 18:30開場/19:00開演
横浜市旭区民文化センターサンハート 音楽ホール
(横浜より相鉄線「二俣川」駅直結)
全席自由 2500円

<出演>
高橋ちはる(メゾソプラノ)
田部井美和子(ピアノ)

<プログラム>
フォーレ : 「ある日の詩」/ネル
ショーソン : ハチドリ
アーン : クロリスに
マーラー : ラインの伝説/原光
中田喜直 : すずしきうなじ/歌をください  他

***********************************

足利市民合唱団(足唱)のピアニストを務められる田部井さん。
何度か、ご指導のピンチヒッターで伺ったときにもお世話になり。
さらに昨年は「復活」公演で足利の皆様と共演させていただいたご縁から
このたび、足利でコンサートをさせていただくこととなりました。
足利公演の会場である「久叡館(きゅうえいかん)」は
田部井さんのご自宅にある(!)ギャラリースペース。
写真展や絵画展なども行われています。
定員70名の親密なスペース。
その、素敵な空間でおこなわれる「久叡館サロンコンサート」は
すでに地元の皆様の間で定着しており、
実はもうすでにお申し込みが殺到し、定員を満たしそうな勢い!だそうです。。。

チラシも、とっても素敵に仕上がりました!
写真は、足利にお店を構えるマツモト写真のカメラマン・松本拓也さんに撮影していただきました。
表面の、青空の下での写真は渡良瀬川の土手、
裏面の、ピアノと本棚と共に写る写真は田部井さんのお宅のレッスン室です♪
素敵なお写真をありがとうございます!!!

足利の方々に、私の演奏を聴いていただけるのはうれしいのですが
せっかく歌うのだから、私を応援してくださっている方々にもお聴きいただきたい。
そこで、横浜でも歌わせていただくことにいたしました。
なぜ「二俣川」なのか?
レッスンに伺っていた先生のご自宅の最寄り駅だから。
ぜひとも、先生にも、お気を楽にしてお出かけいただきたかったのです。

プログラムも、日程も、先生にご相談をして決めました。
前半は、
ここ何年か、取り組んでみたいとずっと思っていたフランス歌曲。
歌ってみたかった曲ばかりを集めました♪
コンサートタイトル「Poème d'un jour」は
今回取り上げますフォーレの歌曲集から採っています。
後半は、
昨年、足利での「復活」で歌ったマーラーの世界。
「素敵な歌曲が、いくつもあるんですよ」と、「復活」に関わった方々にご紹介したくて。
そして、いつも歌っていきたい日本歌曲。

先生も、11月を楽しみにしてくださっていました。
7月にレッスンに伺った際も、
チラシとチケットが出来たら預からせてね、宣伝するわ、と
仰ってくださっていて、コンサートの日にちもメモしてくださっていたのです。

聴いていただきたかったなぁ。。。

ここで取り上げる曲を練習しているときも
先生のお声が聞こえるような気がして・・・
これはどう歌うのがいいのかな・・・って迷っても
もう、先生にはうかがえない。
そう思うと、すごく寂しいです。
でも、
道を示してくださった先生がいらっしゃらない今、
進むべき道は、自分で探さなくては。
そのための手立てを、長い時間をかけて、教えていただいたのだから。
必死で、いろいろ試しています。


どうぞ、どうぞ、聴きにいらして、
私にご感想、ご意見、ご指導、なんでもいいです、お教えください。
そしてもちろん、しばしの間、お楽しみいただければ幸いです。
いい曲ばかり!プログラムには自信を持っています!!
しっかり歌いきれるよう、これから1ヶ月で
自分を追い込んでいきます。

先にも書きましたが
足利公演は、すでに残席間近です。。
どうぞ、横浜公演にお出かけください!
平日の夜ではありますが
JR・東横線の横浜駅から、相鉄線でたったの15分です!
二俣川駅直結、「二俣川ライフ」という駅ビルの5階、
横浜市旭区民文化センター・サンハート「音楽ホール」です!!

「音楽ホール」は、100席だけのこじんまりとしたホール。
とてもよく響く空間で、波多野睦美さんなどもコンサートをなさっているところです。
サンハートには「ホール」と「音楽ホール」の二つのホールがありますので
いらっしゃる際には、どうぞお気をつけくださいね。

お問い合わせは

takahashi_chiharu◎excite.co.jp

までどうぞ!!(◎は@に置き換えてくださいね)

よろしくお願いいたしますm(_ _)m
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by takahashi_chiharu | 2013-09-22 23:02 | 「ある日の詩」コンサート | Comments(0)

さいたまシティオペラ「電話/ヘンゼルとグレーテル」終演!!

約3ヶ月のお稽古を経て、
「ヘンゼルとグレーテル」の本番が、無事に終演いたしました。

この週末は、大荒れのお天気ではありましたが
会場入りするときも、すべて終わって帰るときも
結局、傘をささずに済み
お客様にも、あまりご迷惑をかけずに済んだのではないかと・・・
しかし、夜中には嵐が来る!という状況の中、
それでも勇気をもってさいたままでお出かけいただきましたお客様みなさまに
心から御礼申し上げます。
「天気悪い中、足を運んだ甲斐があった」と思っていただければ、幸いです。
また、今回は小さなお客様にもぜひオペラに触れていただきたい!と思って
宣伝をして参りましたが、
何人かのお嬢様方から「面白かった」「すごかった」とのお声をいただけて。
なによりのお言葉。励みになります。


今回の現場。
指揮・演出の先生方、舞台スタッフの皆様、
共にお稽古・共演させていただいた全キャストの皆様、
3公演分のお稽古&本番にお付き合いくださった合唱の皆様、
毎回のお稽古会場を準備してくださり、
本番でもスタッフとしてお仕事してくださった事務局の皆様&お手伝いの皆様、
本当に、すべての方々にお世話になりました。

和気藹々とした雰囲気の中で、
たくさんの、とてもよい勉強をさせていただきました。

ひとりで歌うときにも、きっと役立つことも。
どうやら、首を縦に振る、「振りかぶり」がすごく多いのです、わたし。
お稽古当初、「子どもらしく」を意識しすぎていて
変にデフォルメした、わざとらしい「こども」の演技をしてしまっていた、ということがあって
本番までに、どんどん「余計な動きは取る」の方向で
演出の十川先生がご注意くださって、
動きはずいぶんスッキリしたはず、なのですが。
たぶん、ソロで歌ってるときも、そうなってる時が、あるんじゃないかなぁ。。。
今まで、自分が歌っているところを「録音」することはあっても
「録画」したことはほとんどないので、
今度は「録画」もしてみようかなぁ。

歌曲って
大きな世界の一遍を切り取って
ルーペで拡大して、細かいひだまで見ているような
そんなところがあると思うのですが
オペラって・・・
大きなお話だからって、小さいところが雑になっちゃいけない。
せせこましくないほうがいいけど、心の移り変わり、
体の変化の「あいだ」を結ぶ心の変化も見せるんだ。
気持ちから出てくる動き・声・表情、が基本。ということを
十川先生には教えていただいたと思っています。

また、指揮の小崎先生には、
本番中もたくさん助けていただきました・・・!!
お稽古中、ある決まった箇所がいつも抜け落ちてしまっていて、
私にとっての「鬼門」なところがあったのですが
本番では、マエストロが大きく腕を振ってくださったおかげで
「そうだ、私もここは大きく腕を振るんだ!」と
落ち着いて歌えて(笑)
お稽古中の、例えが面白すぎて笑っちゃうご指摘も
本番中の指揮でのご指示も
「(良くも悪くも)歌い手をよくわかってるなー」と何度も思いました。
オペラの現場を数多くこなしてこられた方の、お仕事。すばらしい。

お二人の先生方のもとでオペラを一本勉強させていただけて
本当にありがたかったです。


それから、本番までの、心と体の持っていき方。

今回は、本番の約10日前に
「恩師を亡くす」という大きな出来事があり、
私などは、特段なんのお手伝いもできなかったのですが
それでも、「ヘングレ」そっちのけ、な数日がありました。
(お稽古を休むことなくご葬儀に参列させていただけたことは本当に感謝でした)
はっきりいってそんなことはなんの言い訳にもならないわけで
荒通し→通し稽古、のあたりは少し苦しい戦いになってしまい、
初めてホール入りしたGPもかなりドキドキだったのですが
逆に「本番では絶対にきっちりと、穴を埋めたい」という意識で、気持ちが引き締まり
本番中も、一場面ずつ落ち着いて演じることができ
結果としては「無事故無違反」で、幕が下りるまで駆け抜けることができました。
やるべきことをやれた、というのが
実は一番うれしいです。
まだまだオペラひよっこですから。

見た目より実は小心者、な私にくらべ
グレーテル役の細谷由香ちゃんは、実に落ち着いていました!
お稽古中から本番まで、一生懸命かつ冷静なゆかちゃんの隣で
何度も、「私も頑張ろう」と思わせてもらいましたが
GP、本番でのゆかちゃんの肝の据わり方は素晴らしかったです。
(まだ若いのに、そしてあんなに可愛らしいルックスなのに笑 
でもそういう「肝の据わったかわいこちゃん」は大物になる・・・と思います!!)

私は、そんなゆかちゃんを見て落ち着くことができました。
たくさんたくさんお世話になりました。
ゆかちゃんがパートナーで良かった。ありがとう。


自分が出た公演は15日夜に終わりましたが
16日昼には3組目の公演がおこなわれたので、再度ホールに足を運びました。
(当たり前ですが)演じているうちは、照明や舞台の全容を客観的に観ることができなかったので
客席から、舞台の演出が整った状態で通して観ることができて
とっても楽しかったです!!
また、3公演分のキャストには、共通した演出がついていたはず、なのですが
出来上がって本番を迎えてみると、細かい部分が組ごとに違うテイストになっていて
「へーっ、そこはそんな風にしたんだ!」とか
「あ、それは思いつかなかったなー、上手いな!」とか
面白く拝見しました。
そういう「へーっ」って思うものを見ると、
こんな風にもできたかな、もっとこうすればよかったかな、と欲も出て。
これが、舞台の醍醐味なのですね!!きっと。

そして、純粋に観客としても「電話」も「ヘングレ」もとても楽しみました!
「電話」もとてもよかったなぁ~♪♪
プロポーズ大作戦が無事に成功して歌うデュエットの部分は
本当に胸キュンですよねー!!


あー、楽しかったなぁ。
本当によい経験をさせていただきました。
考えたら人生初の「タイトルロール」を演らせていただいたわけで…
ヘンゼル「と」グレーテル、だからダブル主役みたいなものですが、
それでも、主役ですよ。要ですよ!!
…こんなヘナチョコなのに。
それなのに、萎縮することすら忘れて、日々自分のことに没頭し、お稽古に楽しく取り組めたのは
周りにいてくださった皆様のお優しさに包まれていたからだなぁ、と
改めて、感謝です。本当に。
オペラって楽しいなぁ、ってすごく思えた現場でした。
また、皆様とご縁がありますように・・・

また、ヘンゼルくんになれる日が・・・くるといいなぁー!!!
ほんとに楽しかったんだもん。

(あと、ほんとは・・・いつか魔女を演じてみたいのです☆ひそかな野望・・・!!
音域的には、いけると思うのです・・・♪)

ちなみに、今回はこんなお衣装でした☆
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グレーテルの細谷由香ちゃんと。

お世話になりました皆様、
いらしてくださったお客様、応援してくださった皆様
本当にありがとうございました♪
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by takahashi_chiharu | 2013-09-17 09:10 | 演奏会記 | Comments(2)

ヘングレ通し稽古!!

今日は「ヘンゼルとグレーテル」の通し稽古でした。
あと1週間、隙間がなくなるよう、ぎっちりと詰めていきたいところ。
「間」が大事なんですよね~・・・
そしてわざとらしくしないこと。気持ちとくっついてること。

今回の公演ではメノッティ「電話」/フンパーディンク「ヘングレ」の2本立てで、
今日も「電話」→「ヘングレ」の順に演奏しました。
「電話」では藝大同期の原田圭くんがベン役を務めるA組さんが通しをされました。
本番は別組なのですが(圭くんの「電話」はA組、私の「ヘングレ」はB組)
「電話」と「ヘングレ」はお稽古もずっと別だったので
今日はじめて拝見することができて、とっても面白かったです!!
「電話」のお二人は言葉の発音がとてもきれいでしっかり日本語が聞き取れるし、
カップルのやりとり、気持ちのすれ違いと通い合いがひとつの短編映画のようで
きっと楽しめると思いますよ☆
「電話」も「ヘングレ」も一度に見れるなんて、今回の公演はお得だと思いますよ~!
自信をもってオススメします!
「ヘングレ」チームも、ますます頑張ります!
いまからでも・・・ぜひご検討くださいませ!
圭くん出演のA組公演は9月15日の14時開演、
私が出るB組公演は同じ日の18:30開演、
さいたま市文化センター小ホール(南浦和駅徒歩10分)です!

通し稽古を見ててくれた圭くんが、ヘンゼル&グレーテルの写真を撮ってくれました!
愛する我が妹、グレーテル役の細谷由香ちゃんと。
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ヘンゼルは大変だけどとっても楽しいです!
しかし踊りの時は手をあんまり高くあげちゃうとグレーテルちゃんがかわいそうだな。。
もっと妹思いのお兄ちゃんになりたいです。。
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by takahashi_chiharu | 2013-09-08 23:38 | リハーサル日記 | Comments(0)

思い出ぽろぽろ【超長文注意】

長い大学生活で、ずっとずっとお世話になっていた先生が
ご逝去されました。

私の、芸大の母。

お通夜、告別式と参列させていただき
同期と先輩方と、お清めとして遅いお昼をいただきながら
(泣いたらお腹空いちゃった〜、と言い合うあたりが我らがA門下笑)
先生のお話をたーくさんしたあとで、
ひとりで寄り道。

悲しいけれど記憶ってだんだん薄くなっていってしまうから、
思い出を、思い出したままに書き留めておこうかと。
備忘録。

(追記:
先生との個人的な思い出を公開することについて、
いろいろお思いになる向きもあろうかと思いますし
ご興味ない方もいらっしゃるかもしれません。
でもすみません、これは私のわがままで公開の形で掲載しておこうと思います。)


先生との出会いは大学一年生のとき。
初めてのレッスンで
「私あなたのことよく知らないから、自己紹介してくださる?」
と優しく仰って下さり。
当時のレッスン室はまだ、3号館の小さいお部屋だった。

学部1年生の学年末の歌の試験で緊張のあまり歌詞を間違え、すっかりしょげていた日の夕方、校内で先生にお目にかかり、歌詞を間違えました、すみませんと申し上げると「あら、そうだった?気づかなかったわよ、大丈夫よ」と仰ってくださったこと、
2年生になりリートを勉強したいけど何から始めたらいいですかと申し上げたらブラームスからやったら?と仰り、いつかのレッスンであなたの声はナタリー・シュトゥッツマンにちょっと似てるわね(決して、決して自慢ではない、単に声が篭っていただけなのでは笑)と仰られたのでシュトゥッツマンのCDをすぐ買ったこと、
大学構内に落ちてる銀杏をビニール袋にわりとたくさん、素手で拾われて「いいおつまみになるのよ、なんで誰も拾わないのかしら」とあっけらかんとおっしゃったこと、
その昔、東京都美術館横の道端で行商のおばちゃんが売ってた手作りの草もちを買っていらして、美味しいのよと私たち生徒にもくださってご一緒にいただき、確かに美味しかったこと、
レッスン終わって大学の裏、桃林堂の奥にあった焼肉屋さんでお食事したこと(そういえば先生の御宅のちかくのファミレスでもお食事ご一緒したことあったなぁ)、
軽井沢の別荘へお泊まりさせていただいてレッスンしていただき遊びにも連れてっていただき、お夕食の時にお猪口のお酒をいただく姿をご主人様に「お酒好きだね、唇がお猪口を迎えにいっちゃってるよ」と言われ、先生も笑って聞いていらっしゃったこと、
その軽井沢行きは確か、第九のオーディションに受かったあとで、ちはるさんもいよいよね、これからよね…!と仰っていただいた…
地元の師匠がバッハをはじめ宗教曲を素晴らしくお歌いになっていたのを真似したくてバッハの四大宗教曲(マタイ、ヨハネ、クリオラ、ロ短調)のアリアをレッスンに持って行き(当時学部3年生くらい、はっきり言って超無謀・・・笑)、アリアは練習していったけどレチは全然見てなくて「勉強するなら一緒にセットで勉強しなきゃダメよ」と仰られたこと、
勉強会での緊張、先輩が素敵にお歌いになった曲を真似したくてレッスンに持っていったり、
芸祭最終日にこっそりレッスン室で一晩寝させてもらって、さっきまでレッスン室の床に転がってました、という着替えず顔も洗わずの状態で学校にいらした先生にばったり廊下でお会いして目が合わせられなかったこと(今も昔も、本当はそんなのダメだと思いますが…10年以上前のことですから時効ということで)
レッスンが終わって大学から上野駅まで、またご自宅から最寄りの駅まで、などお車に乗せていただいた時の豪快な(笑)先生の運転、
毎年のクラス顔合わせでは密やかかつ熾烈なレッスン時間確保の戦いがあり、そしてかならず「語学はしっかり勉強してください」と先生が仰られたこと、博士過程に入って以降は年度頭には研究計画書にサインをいただかなくてはならず、ぼぼ白紙の計画書にサインをさせられた先生は「これにサインをと言うんですか」とちらりと厳しく仰りつつもサインしてくださったこと、
レッスンはいつも後ろへ後ろへとのびるので、自分の時間にお部屋に入ると自分の二人前のレッスンがいま始まった、とかはザラで、もう一度練習室にもどって頃合いを見計らってお部屋へ行ったり、
前のひとのレッスンが終わるのを後ろで聴きながら待っていたら「あーもうだめ。お腹が空きすぎて手が震えるわ、ちはるさん何か買ってきてくれない?」と仰って、おつかいに行ったこと(しかもそういうことは何度もあった)
レッスン室にはいつもお菓子があって(前述のようなことがあるので食料は重要なのである笑)お茶のポットのお水も何度も足したし、お茶の時間もよくあったし(その時間があることで延びに延びてるレッスンの時間調整にもなった)、
そう言えば退官記念パーティの際の先生からのプレゼントは先生が大好きだったショコラティエ・エリカのマシュマロとクルミのたくさんはいったミルクチョコレートだった。
入学してはじめての新歓が南青山のフレンチビュッフェで田舎の高校生だった私はびびったこと、その後は上野の花のれんや鳥良での新歓や追いコンで素敵な先輩方が美味しくお酒を召し上がる姿がかっこよく、先生も楽しそうに召し上がっていたこと、
A先生クラス最後の追いコンで、結婚式にいらしていただきたいと申し上げると嬉しそうにしてくださり、ピアニストの先生と「二人で行きましょうね…!」とニコニコしてくださったこと、

レッスンなのに全然!まったく勉強していかなくて、当然だがぜーんぜん歌えなくて、それなのに厳しいことはまったく仰らないので、かえって泣きそうなほど申し訳なく胸が潰れそうに苦しかったこと、
歌えなくて悔しくて、先生の仰ることをすっと受けられない自分が悔しくて、先生は何もおっしゃらないのだけど(そのかわり同じ所を何度も何度も歌わせて曲の1ページ目からちっとも先に進まない)、勝手に泣いて、そうすると「あら、私なにかひどいこと言ったかしら」と仰るので「いえ、言ってません」といいつつ涙が止まらなかったり(そういうことは何度もあった)、何しろ「あきらめないひと」だった。「もうすこし、あとすこしでうまく声が出そうだ、と思ってしまうのよね」と生徒の声を生徒以上に探してくださった。「もう一回やってみて」「んーもう一回歌ってみましょうか」と何度も仰ってくださった。
4年生のときは院試や学内のレッスンのために、当時の伴奏の先生の逗子の御宅まで合わせに伺ったこと、4年生の1年間というのは前期試験、院試、学内演奏会、卒試と大きな試験が何度もあるのだが「いつも同じ曲じゃつまらないじゃない」と仰っていろんな曲をそれぞれに用意したこと、
無事院試が終わったある日、レッスン帰りに上野駅までの道すがら、オペラ科適性審査を受けるか迷って…やっぱりソロ科にしようかと…どう思われますか、と先生にお話ししたら「そうね…あなたにはリートを歌って欲しいわ」とおっしゃられたので、では!と心が決まったこと。

院に入ってからは「歌曲集を取り上げる時は有名な曲だけやらないで全曲やりなさい、まとまったレパートリーを作りなさい」と仰って院生の勉強会をさせてくださって、シューマンのLiederkreis Op.39や女の愛と生涯やバーバーの歌曲など歌い、ツィクルスをまるごと歌う、という大変だけど面白い道にはまっていった。

院生勉強会の際にはよく、先生お手製のチラシを作ってくださった。鉛筆を削る、とかラベル作り、とか細かい作業がお好きだった。小さく、かわいらしいもの、スワロフスキーのようなガラスの動物やリヤドロの柔らかいフォルムのお人形など、ご自宅にも学校のお部屋にもかわいいものがあふれていた。
そして何よりスヌーピーがお好きだった。世界でもっとも有名なビーグル犬であるスヌーピー。よくよく読むと実は深いあの漫画。先生がスヌーピーのことを「犬のくせにねぇ・・・ふふ」とぽつりと仰ったのを聞いたことがある。(ただの犬なのに世界的に有名で、人生のペーソスをわかっているのよね)という意味だと思う。
ご自宅には生徒さんたちのご結婚報告や事あるごとのお写真も所狭しと飾られていた。ご家族思いの方でもいらっしゃった。ご自宅の下駄箱の片隅に、息子さんがかつて履いていた小さな小さなお靴を大事に取っておいてらした。捨てられなくってね・・・と仰って。
そしてお孫さん・・・先生がお辛かったとき、孫娘ちゃんたちの存在がどれほど先生にお力を与えたことか。

今はなき(笑)「芸大ゾリステン」という院生のグループでうたシリーズに出させていただいて、先生や他の先生にもレッスンを受けたこと、
院の3年生になる前の修士リサイタルでベルクの七つの初期の歌を歌った時に「これね…!」と仰って修演はワーグナーとリストがいいわ!と決めてくださったこと、そこから始まった「A先生クラスといえば盛りだくさんなプログラム」といわれるほどの、あれもこれも歌ってしまったいくつかの演奏会(おかげでかなり鍛えられた)、
ウィーンから一時帰国した時に12月だったのでVanillekipfern(三日月型のほろほろクッキー)を手作りで持参してご挨拶に伺ったところ、召し上がって「いつでもお嫁に行けますね」とおっしゃってくださったこと(帰国している間にゆっくりお食事でもしましょうね、と仰っていただいたのに結局できなかったことが悔やまれる…あのときいろんなお話をしていたらまた何か変わっていたのかな…)
勉強会や博士リサイタルの際には先生自ら「今日はありがとうございます、それではこれからはじめまーす」とお客様にご挨拶してくださり、休憩のところでは「それではここで休憩です」とまたまた自らおっしゃってくださり、
私のはじめての博士リサイタルの時には、私はI先生の元で勉強させていただいていたので(ソプラノである先生が突如「あなたI先生のところで勉強していらっしゃい、メゾなんだから」と学内留学?させてくださった)、
本番前、また本番中の休憩の時もお声かけに楽屋(1ホール手前の小さいお部屋を楽屋にしてた)にわざわざいらしてくださり、「いい感じよ」と励まして下さり、
きっと躾の行き届いてない娘をよそのお家に預けた母のような、心配な、それでいて「この子この経験でどう変わるかしら」とワクワクするお気持ちで見守っていてくださったのだろうと…
先生は私がI先生のところにいる間、ご自分からは一度も「どう?(うまくいってる?)」とお尋ねにはならなかったと思う。少なくとも私には。
そしてリサイタル終わったあとでA先生からI先生に御礼を申し上げたいからと両巨匠とピアノの先生と私とで池之端のホテルのレストランで、おそらく人生最高に緊張しそしてとても幸せなお食事をいただいたこと、あのときのお話、ものすごく美味しい赤ワインの味、帰りにふわふわ酔っ払って上野駅まで結局歩いて行ったこと、あの夜の空気の感じ。
とあるコンクールを受けて本選のあと、「うーん…良かったと思うわよ…」とおっしゃってくださったこと、
どんなコンクールでもオーディションでも決して身内贔屓せず上手な人は評価しダメなものは門下生であっても「今日はよくなかったわ」と仰り・・・コンクールという場であろうとも、いい演奏に夢中になってそれ以外のことはお考えの外だったのではないかと(笑)
生徒を信頼し、しっかりとご自分の信じる音楽を伝えている、いいものはいいのだから、という自負もおありになったのではないか。
私たち歌曲を勉強していた者には、「小さい会場でもいいから、年に一回はリサイタルをやりなさい」と仰っていた。研究熱心な先生だから…と思っていたけれど、それだけでなく、ご自身がコツコツと取り組んでいた幅広いレパートリーでのリサイタルをとある先生がお聴きになり、ご自分の後にと大学へ推挙くださった、というご経験から、「私はここにいます」と広く知ってもらうという意味でも活動し続けることが大切、と思われていたらしい、と門下の大先輩からお聞きした。

先生にいただいた、私自身では到底思いもつかない素晴らしい選曲の妙…ベルク、ワーグナー、ブラームスやシューマンの曲の数々、高田三郎「パリ旅情」、中田喜直「海四章」、(余談だがずーっとまえにとある演奏会で聴かせていただいた中田喜直「歌をください」は素晴らしかったなぁ・・・泣けた。そしてレッスンもしていただいた)、グリーク、ヴォルフのスペイン歌曲集の宗教的歌曲、ホルストの「静かな朝」、先生がお好きだったシュトラウスのMeinem Kindeやレーガーの「マリアの子守唄」、最後にチャレンジしたコンクールでは「あなたにはシューベルトを歌ってほしいわ」と仰って選んでくださったAbendstern…
シューベルトのNachtstück(夜中に、人生の終わりが近いことを悟っている老人を、夜が優しく包み込む…というような内容の歌曲)を歌った時には
「いいと思うんだけどねぇ、なにか違うのよね…きっとちはるさんは幸せなひとなのね」とおっしゃったこと(そしてなんとも悔しかった)…

留学から帰ってきたときのこと、そしてシュトラウスのナクソス島のアリアドネの作曲家のアリアを聴いていただいた時のこと(いま思えばあの頃がご病気の最初のころだったのだ)、
コンクールと結婚と論文と…私が不器用なのをご存知な先生は「コンクールは今じゃないんじゃない」とおっしゃったこと、
先生のお口添えで魔笛の童子でオペラのお仕事場を勉強させていただいたこと、オケで第九とドヴォルザークのレクイエムとシューマンのレクイエムを歌う機会をいただき、ドヴォルザークのときにはご一緒した同門のソプラノさんと一緒にレッスンしていただいたこと、
論文の誤字脱字を探して下さり夜中にメール、朝からお電話くださったこと…
夜中は自分の時間、寝るのがもったいなくて、と仰る先生だった。

とても楽しく、笑って泣いて、この門下の一員になれたことがとてもとても幸せだと思えた退官記念パーティ、
結婚式で「夫婦長持ちの秘訣は、まずはなるべくお食事は一緒にとること」とご挨拶いただいたこと(ものすごーくお忙しい先生だったのにそのことを実践なさっていたことに頭が下がる)…

最後にレッスンしていただいたのは7月、
はじめたばかりのフランス歌曲、フォーレを見ていただいた。
ドイツ語とフランス語、同じ発音記号で表す音でも、ちょっと違うということ、
生真面目な何も知らない若ーいお嬢さんではなくなってから取り組むフランス歌曲は自由が利いて流れがあって今の私にはとてもよい勉強になりそうだと感じたこと、
11月に、先生に聴いていただきたいからご自宅最寄のホールで計画していた演奏会を、先生も楽しみにしていてくださったこと、
そのときにも門下のいろんな友人たちの話をしたこと、

お盆明けに「9月にレッスン伺いたいのです」とメールでお願いし、ヘングレが終わったら伺うことにしていたのになぁ。


いつもいつも
先生の温かいお心とお優しい眼差しに見守られていたこと。
調子がいいときも悪いときも、発声に迷ったときも、毎回同じことを注意されてそれが苦しかったときも、演連コンサートを無事終えられたあとで、「これで一人前ですね」とおっしゃってくださったときも

いつも同じように温かく、さらりとしていて、目が輝いていらして、微笑みを湛えていらして

あれ、私うたえる…!

って魔法をかけてくださった先生。
レッスンを受ける私の方が何十歳も若いのに、私の数十倍、情熱的で、若々しくて、みずみずしい音楽を示して下さった先生。
お美しく上品な舞台姿。
お歌はいつも、どこもひとつも押し付けがましくなく、誇らず、ふんわりと広がって温かかった。

そしていつも
次はなにを勉強しますか?と
私が新しい曲にチャレンジするのを期待していてくださり、きっぱりとした否定はなさらずどんな時も見守ってくださったこと。

だめだ。
どこまで書いても思い出が尽きない。
きっと、先生と関わりのあった方それぞれに、ここに書いたよりもっともっといろんな思い出が
たくさんたくさんおありだろうと思います。


ありがとうございました。
これからも、「先生ならどうお感じになるかしら」と思いつつ、励むことになると思います。
これからは、誰のどんな演奏会でも聴きにいらしてくださいますよね。


さ。
いつまでも泣いてると、先生に
「いつまでも泣いてても仕方ないじゃない!
勉強してくださ〜い」
って、いつもの、あの感じで仰られそうな気がするので。


明日はヘングレ通し稽古!
先生がおっしゃったように「きっとちはるさんは幸せなひとなのね」というふうに私の歌が聞こえるなら、
思いっきり幸せに歌いたい。
きっとそれが本当の、私を生かす道なのだと思う。
先生の、音楽に対する審美眼…と言っていいのかしら、
それは確かに本物だから。
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by takahashi_chiharu | 2013-09-07 16:42 | 日々のこと | Comments(0)

Befreit

私に魔法をかけてくださる方が、ひとり 
いなくなってしまいました。

昨夜の今頃のこと。

ただただ さみしいです。

今日の「ヘンゼルとグレーテル」のお稽古では、自分の中で
演出家の先生のお隣で、先生がニコニコして聞いててくださる ということにして
歌い演じました。

ぼろぼろでしたけど。

これからも、勝手にそうさせていただこうと思います。

すべてのお苦しみから
Befreit(解放)されたはずと信じて。

たくさんの、たくさんの感謝をお伝えしなくては。
これから、ずっと。


でも、
やっぱり さみしいです。
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by takahashi_chiharu | 2013-09-04 23:50 | 日々のこと | Comments(0)