「うたごよみ」こぼれ話。

「うたごよみ」で選曲した歌について、ちょっとだけ振り返り。

まず、コンサートのメインとして考えた
ヴォルフの「スペイン歌曲集(宗教歌曲集)」ですが
3曲目に歌った
「Mühvoll komm' ich und beladen(重荷を負い、苦労の末に私は来ました)」。
この曲は、芸大の学部を卒業するときに
卒業試験で歌った曲です。
今は亡き恩師が選んでくださった曲。

その当時は、
先生に「この曲はどう?」と仰っていただくまでこの曲のことは知らなかったのですが
歌ったとたんにものすごく好きになって
まさに「ハマった」曲。
昔のことすぎてよく覚えていないけど、
とにかく必死で歌っていた、と思う。
「ひたすらな祈り」のエネルギーに追いつこうと、必死で。

あの当時は、
この曲が「宗教歌曲」と銘打たれていることもあんまり意識できてなかったと思うし、
キリスト教では春に受難節(四旬節)があり、
春はキリストの受難に思いを馳せるべき季節である、ということもよくわかってなかったし
その後、毎年のように受難曲の演奏に関わるようになるなんて、全然思ってなかったし

そんな、あの当時の私にこの曲をくださった先生・・・
すごい。
どこからひらめいたのか(笑)
先生には何が見えてたんだろう。

その後、4曲目に歌った
「Wunden trägst du, mein Geliebter(あなたは傷を負われて、いとしいひと)」
を勉強する機会があり
いつか「スペイン歌曲集」をまとめて歌いたいという思いと、
歌うなら、やはりこの時期であろうという思いと。

いま、この年になってもう一度歌えて、よかったと思う。
何も知らなかった私に、少しずつ
ヴォルフの「宗教歌曲」の歌の世界が染みてきたのだと思います。
また、「Die ihr schwebet」と「Ach, des Knaben Augen」は、母性の歌。
昔よりは・・・そういうのも表現できるように・・・なってきたかもしれず。

クリスチャンではない私の心も、ぐらぐら揺さぶってくれた「宗教的歌曲」。
この曲たちを歌うことについて、この曲たちの基本的な背景について
お話して説明したほうがいいのかなぁ、
解説を書いたほうがいいのかなぁ とかいろいろ考えたのですが
ヴォルフは決してとても敬虔なクリスチャン というわけでもなかったようだし、
説明することでひとつの方向に導いてしまいそうでなんだか気が進まなかったのと
なーんにも知らなかった私でも心を掴まれたのだから、
「なんかアツい歌だったなぁ」と感じてもらえればそれでいいのかなぁ
と思ったりして、結局
「うたごよみに寄せて」としたご挨拶文で軽く触れるだけに留めたのですが
不親切だと思われた方がいらしたらごめんなさい。

今気付いたけど、
たしか学部の卒試は、母方の祖父母も聴きに来てくれたんじゃなかったか。
ずいぶん時がたって、もう祖父はいないけど、
祖母にはまた聴いてもらえたことになる。
昨日、祖母に
「前半はドイツ語だったけど、後半は日本語だったから聴きやすかった?」
みたいなことを言ったら
「前半も、意味はわからなくても、伝わったよ」
って言ってくれた。
すごくすごくすごくありがたい聴き手だ・・・ありがとう。

それと、「藤の花」。
こちらは、昔、こんなことを書いてました。

今では、これを書いた時とは、またちょっと違う思いもあるような・・・

今回も、歌うのは本当に難しかったですが
本番でだけ、なにかが降りてきた、ような気がします。

以前に、いろんなところで、先生やいろんな方に種を蒔いていただいたことを
改めて、あたためて、歌う。
全ては繋がっているなぁ。

こんな私と各方面でお付き合いくださっている皆々様に、改めて感謝です。


・・・さて、今日からさっそく次のこと。
今年は「マタイ」のプロジェクトが二つあります!!
まずは鈴木優人さん指揮で、横浜みなとみらいホールでの「マタイ」。
演奏はいつも一期一会。
今回はなにを感じることができるんだろう。楽しみです。

バッハさんのお誕生日である今日から、リハーサルスタートです☆

by takahashi_chiharu | 2017-03-21 11:23 | 演奏会記 | Comments(0)