おそうしき

先週、祖父が亡くなりまして。
しばらく、実家に帰っていました。

私の結婚式の少し前に、肺の病気を発症してから丸3年近く、
その間に何度か病院に入院することもありましたが
もともと、腹八分目、規則正しい生活と養生を心がけるひとだったので
ずいぶん良くなった時期もあって。
よく頑張ってくれました。
亡くなる二日前に病院にお見舞いに行った時も
酸素マスクしてて、喋れなくて悪いね、と
ジェスチャーで伝えてくれて、
「うんうん、無理して喋らなくていいよ、また来るからねー」
と言ったのですが。

小さい頃は一緒に住んでいたので、
「いるのが当たり前」なおじいちゃんでした。
いつも穏やかで、もの静かで。
大学に通っていた頃、ごくたまに
「うわー今から自転車で駅まで行っていたら間に合わない!」というときに
駅まで車で送ってもらったりしていたことを思い出します。
なにも言わずに車を出してくれたおじいちゃん。
車の中での会話は、決まって
「あと何年学校に行くんだ」
「勉強もいいけどあんまりしすぎるとお嫁にいけなくなる」
「女の子はお嫁に行ってお母さんにならなけりゃ」
そんな感じでした。

いざ、結婚が決まって
祖父母と両親と、主人と私の6人でご飯を食べたとき
いつものように穏やかに、でもうれしそうだったのを覚えています。

もちろん、歌のことも応援してくれていて
東京文化会館でリサイタルをした際には
両親やおばあちゃんと一緒に、上野まで演奏を聴きに来てくれました。
たまーに私がNHKに映ったりしたときにも
テレビを見てくれていたようでした。

おじいちゃんの闘病生活は
私が結婚して、家を離れてからのことだったので
遠くから心配しながらも
忙しさと距離にかまけて、なかなか会いにいくこともせず。
それでも、会えばいつもの穏やかさで
「まぁなんとかやってるよ」と言ってくれる優しいおじいちゃんでした。


先週末~今週は
土曜日に佐々木典子先生のリサイタル
月曜日に伊原直子先生の退官記念演奏会 と
とってもとっても楽しみにしていた、二つの演奏会があったのですが
土曜日の午前中に、東京バロック・スコラーズの練習にヴォイトレで伺って
「ミニマタイ」のプログラムを一通り聴いていたら
ちょっと、いやけっこうしんどくて。
今の自分には、音楽を聴くのは、きついんだなぁ・・・とも思い
おそうしきがひと段落するまで、両親のそばにいることにしました。
演奏会に伺えず、失礼してしまって、すみません、と思いつつ。

それにしても、おそうしきというのは本当に大変ですね。改めて。
突然やってきた緊急事態に全力でぶつかった両親を、
改めて尊敬しました。
久しぶりに、妹や弟ともいろいろ話ができ、
さらに、いとこや叔父叔母、久しぶりに会う懐かしい人がたくさんいて。
「年寄りの葬式は孫子の正月」という言葉があるとかないとか。
お年寄りのお葬式には親戚一同が集い、「久しぶりだね」と言い合えるから。
おじいちゃんが会わせてくれたんだと思ったら、ありがたかったです。


実は、おじいちゃんの死に目には会えなかったのですが
亡くなったという連絡を受ける直前まで
「秘密の県民ショー」を観ていて。
地域ごとの仰天食べ物、みたいなテーマをやっていて。

私にとっての「我が家だけ」というメニューは
大晦日に食べる「とろろご飯」。
私の地元・熊谷市の中でもごく一部分の地域だけに伝わっている風習らしいのです。
「晦日祓い(みそかっぱらい)」といって
その年の穢れや厄を払う意味合いがあるらしいのですが。
私は結婚するまで「年越し蕎麦」を食べたことがありませんでした。
とろろごはんの支度をするのは祖父母、と我が家では決まっていて。
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すり鉢でとろろを擦る祖父と、そこへ出汁を入れて味付けをする祖母。
ごはんにとろろ汁をかけて、青海苔と唐辛子を振っていただきます。
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「県民ショー」をみながら、
とろろご飯食べてないな、
おじいちゃんどうしてるかな・・・
と思っていた矢先の、訃報でした。


おじいちゃん、いままでありがとう。
ベタベタ甘えるのは、あまり得意ではない私だったけど
静かに見守ってくれて、ありがとう。
ひ孫の顔を見せてあげられなかったけど
これからも、遠くで見ててね。
また会うときまで。
じゃあね。

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Commented by よねぴー at 2012-03-21 01:49 x
お祖父様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
うちも大晦日にとろろご飯(あるいはそば)のことがあります。
Commented by takahashi_chiharu at 2012-03-21 01:59
>よねぴーさん
コメントありがとうございます。
よねぴーさんのご実家は調布?ですよね?
「大晦日にとろろご飯」は各地に点々と分布しているんですね!
熊谷だけかと思っていました。

今年の年末は主人に言ってとろろご飯にチャレンジしてみようかなぁ。
Commented by テラコッタ at 2012-03-23 09:22 x
そこに居てくれるのが当たり前の家族が亡くなる、というのは
本当に寂しいですね。
でも、これからは、自慢の『お孫さん』の傍で、いつも見守ってくださるのでしょうね。
お祖父さまのご冥福を心よりお祈り申し上げます。
Commented by takahashi_chiharu at 2012-03-23 10:26
>テラコッタさん
コメントありがとうございます。
結婚してからというもの、実家に帰るのは数ヶ月に一度だったのですが、
それでもやはり、いるはずの人がもういないのは、寂しいですね。

「自慢の」かどうかは甚だ自信がないですが、むしろ近くで、いつでも見ててくれるような気がします。
by takahashi_chiharu | 2012-03-21 01:16 | 日々のこと | Comments(4)