クリオラで、Reborn

木曜日の夕方。
前日の悔しさと疲労と、ともかく終わったという安堵感と
多くの方からのあたたかいお気持ちと。

まぁ、ぼんやりと腑抜けておりました。

そこへ、地元でお世話になっているO先生からお電話が。
ひどいお風邪を召されたようで、電話の向こうのお声もやや張りがなく。。。
もしもの時には、土曜日に出演する予定であった演奏会で
代わりに歌ってもらえないか、とのことでした。
演奏をされる団体は、カンタータ・ムジカ・Tokyo(通称カンムジ)さん。
かつて、私も合唱メンバーとして参加し、
少しずつソロも歌わせていただきながら、勉強させていただいていたのでした。

曲は
バッハの「クリスマス・オラトリオ」(通称クリオラ)。
今回は根津教会でのチャリティコンサートということで。
聖書の朗読を挟みながら、アルトとバスのレチ・アリアを交え
主要な合唱曲とコラールでイエスの誕生の物語を紡ぐ、という趣向。

「クリオラ」では、アルトには素敵なアリアが3つ与えられています。
去年の12月に東京バロック・スコラーズ(通称TBS)での演奏会にソリストとして参加してあったレパートリーです。

お世話になりっぱなしのO先生のお力になれるのなら・・・ と
金曜日はもともと入れてあった予定の合間に、譜読み譜読み・・・
なにしろ、TBSでの演奏会の時には、ソロの曲しか歌っていなかったので
合唱曲が・・・あわあわ・・・となりつつ、とにかく練習。


そして今日。土曜日。
コンクール終わった直後は、
気分転換に、ドイツリート以外の曲をさらいたいな・・・
フランス歌曲とか♪日本歌曲とか♪
すこし、ゆるゆるしよう。。。
なんて思っていたのに、
こんなにいきなり、本番がくるなんて。

今日の演奏に対して、私なりの目標を立てました。

①3つのアリアに、それぞれテーマを決めて表現する。
4番「備えなさい、シオンよ」は、「デート前、彼を待ってる女の子」。
19番「お眠りなさい、いとしい子」は、そのものずばり「子守歌」。
31番「留めるのです、わが心よ」は、「母となる、ということ」。

②今、掴み始めている声の出し方の方向を失わない。
「こっちのほうが、体も楽。かんたん」という方向もあるのですが
そうではなく。常により良い方向を選択すること。

③・・・とはいえ、常に言葉を、メッセージを伝えることに専念する。
細かいところを恐れずに、聴いてくださる方々にイエスの誕生物語を語りかけること。


本番では。
第1曲の合唱曲から、もう楽しくて楽しくて。
常に「イエスが生まれた!」という喜びが流れているからか
それぞれのコラールも、いつもあたたかい気持ちで歌うことができて。

3つのアリア。
会場となった教会は決して広くはなかったけれど、
縮こまらず、語りかけることに徹しました。
私には、先生の代わりは務まらないと思うけど、
せっかくいただいたこのときを、とにかく充実させたい・・・

その結果、お客様にはどんな風に聞こえていたか、わからないけど、
いろいろ、不備も体が十分に使えていないところもあったと思うけど

まず、伝える。
それだけはできたように思います。

クリオラの終曲。
輝かしくて、大好きです。
うれしさでいっぱいでした。

こうしてクリオラ抜粋演奏は無事に終わり、
最後に「まぶえのかたえに」(賛美歌21 256番)という賛美歌を一同で歌いました。
これはバッハが作曲している数少ない賛美歌です。
清冽な、というか真摯な、というか、しみじみと佳い曲です。


これをみんなで歌っているとき

いろんなことがあっても、
こうして、また歌える。
今日は、きちんとやりたいことができた。
上手く歌いたい・・・という自分のエゴに負けずに、戦えた。
また、ここから始められるんだ。
また、よちよち歩きから始めればいいんだ。

そんな気持ちがこみ上げてきて
こっそりひとり、涙がこぼれてしまって。

BCJで「マタイ」を歌っているときだって
アリアに聴きほれてうるうるしても、合唱はきっちり歌ってるのに。

アリアを歌い終えて、ほっとしたんでしょうね。
それと、
「こんなことたいしたことじゃない、私は大丈夫」と思っていても
それなりに、しんどかったんでしょうか。
もろもろ。


クリスマス・オラトリオ。
イエスの誕生の物語。

私も、生まれ変わる・・・って言ったら大げさですが
再出発できそうです。
へこんで、しおれそうになった心に
お水をあげられた気がしました。


O先生、W先生はじめカンムジの皆様、
私にとって、またとない機会を与えていただき、本当にありがとうございました。
お久しぶりの方もたくさんいらして、
ご一緒できてうれしかったです。


ここから・・・また歌い始めます♪
感謝をもって。

by takahashi_chiharu | 2010-10-30 21:29 | 演奏会記 | Comments(0)